其について
其(それがし)は、カメルディオ・パシャンティエという名の写真家である。名もなき国に生まれ、名もなき国境を持つ。このたび、其の腕を買われ、画廊を設立した。ここに、それを、感謝したい。
ここで、其の写真の哲学について、述べさせていただきたい。其の写真の哲学は、わびさび、がテーマである。おっと、ここで、わびさび、について説明したい。わびさびとは、「Wabi-Sabi represents an aesthetic centered on the acceptance of transience and imperfection. The aesthetic is sometimes described as one of beauty that is “imperfect, impermanent, and incomplete”.(わびさびを読み解く. レナード・コーレン. 1994;一部改) 」とされる。
そこで、其は、わびさびな写真家、でありたい。と日々努力はしている。
しかし、ついカメラのスペックに踊らされ、写真を撮るよりも、カメラを愛でてしまうこともしばしばである。だが、しかし、いい写真を撮れた時は、わびさびな感じに浸れるのである。しかし、撮れた写真は、わびさび、とは言えぬかもしれぬ。
だが、しかし…。
其の名のパシャンティエという意は、「パシャっ」とする音から、また、其の名のカメルディオの意は、「カメラで」ということで名づけられている。すなわち、其の名の背景には、「カメラでパシャっとする」、との意が込められている。これらの意は、実は、先祖代々からパシャンティエ家に、脈々と受け継がれている。パシャンティエ家は、絵描き~カメラ・オブスクラ~カメラを工夫することを生業とし、カメルディオは、パシャンティエ家に伝わる由緒ある名である。其は、パシャンティエ家の十三代目に当たり、このたび、其は、カメルディオ・パシャンティエを襲名した証としても、本画廊を開設するわけである。
が…。
やはり、その名に恥じぬよう、もっと感性と技術を精進せねば…。